「そんな狭いところを狙っても、数が出ないでしょう」
新しい方向を提案した時、よくこう言われます。
数が出ない、つまり売上が小さい。
一見、正しい理屈に見えますよね。
でも、この考え方のまま広い市場を狙い続けて、体力を削られている会社を何社も見てきました。
実際には、狭いところを取った会社のほうが、粗利が厚くなります。
今日は、その理由をお話しします。
なぜ、ニッチ市場は儲からないと思われているのでしょうか?
なぜなら、多くの人が、市場の大きさを人数で見ているからです。
人数で見ると、狭い市場は当然小さく見えます。
1万人より100人のほうが少ないのは、計算するまでもありません。
でも、事業に残るのは人数ではありません。
残るのは、粗利です。
ここで、2つの数字を並べてみます。
1万人の市場で、単価1万円、成約率0.1%。
売上は10万円です。
100人の市場で、単価30万円、成約率20%。
売上は600万円になります。
人数は100分の1でも、残る金額は60倍です。
市場の大きさは、人数ではなく、人数×単価×成約率で決まります。
そして、広い市場では、単価も成約率も同時に下がります。
比べられる相手が多いので値段が下がり、自分ごとに感じてもらえないので成約率も落ちる。
この掛け算が、静かに会社を削っていきます。
狭い市場を取ると、具体的に何が変わるのでしょうか?
変わるのは、売上だけではありません。
社内の仕事の中身が、根本から変わります。
大きく3つあります。
- 同じ種類の仕事が続くので、作業の型ができる。
- 型ができるので、同じ料金でも利益率が上がる。
- 実績が1つの分野に集まるので、次の受注が楽になる。
特に3番が効きます。
狭い市場では、その分野の実績が10件もあれば、事実上の第一人者になれます。
一方、広い市場ではどうか。
毎回違う業種、違う条件の仕事を受けるので、10年やっても型が残りません。
実績も分散するので、何屋なのか外から分かりません。
そしてもう1つ、見落とされがちな効果があります。
問い合わせの質が変わる事です。
狭く書いてあるページには、値段だけを見ている人が来ません。
最初から自分の状況が近いと思って来るので、話が早く、断られる回数も減ります。
社長の1日の使い方が変わるのは、ここです。
どのくらいまで狭くしていいのでしょうか?
判断の目安は、1年に必要な件数が確保できるかどうかです。
計算はとても簡単です。
必要な粗利額を、1件あたりの粗利で割ってください。
それが、1年に必要な件数です。
年間600万円の粗利がほしくて、1件あたり30万円なら、20件でいい。
月に2件も取れれば足りる、という事です。
この計算をすると、多くの事業主様が驚きます。
思っていたより、ずっと小さい市場で会社が成り立つからです。
もう1つ、狭くする時の注意もお伝えします。
絞る軸を2つ以上重ねるのは、最初はやめてください。
例えば、業種で絞って、さらに地域で絞って、さらに規模で絞る。
ここまでやると、今度は本当に人がいなくなります。
最初は1つの軸だけで絞って、反応を見てから2つ目を足す。
この順番なら、行き過ぎても戻せます。
確かに、市場が小さいと将来が不安では?
確かに、市場そのものが縮んだ時に逃げ場がなくなる。
この不安は、よく分かります。
1つの分野に依存する怖さは、実際にあります。
しかし、広い市場にいる会社のほうが、実は先に倒れます。
理由は単純で、体力勝負になるからです。
広い市場では、資本の大きい会社が広告費で押してきます。
同じ土俵に立った中小企業は、赤字覚悟の価格に付き合わされます。
逃げ場があるように見えて、実際には削られ続けます。
一方で、狭い市場を取った会社はどうか。
その分野で名前が知られると、価格の話が後ろに下がります。
しかも、専門性は横に広げられます。
歯科医院の内装で第一人者になった会社が、次に動物病院に広げる。
建設業専門の税理士が、次に運送業に広げる。
1つ目で作った型と実績があるので、2つ目は最初より格段に早く立ち上がります。
つまり、狭く始めるのは閉じこもる事ではありません。
足場を作ってから、隣に移る順番の話です。
例えば、ニッチで成り立っている会社はありますか?
例えば、大型犬に特化したメディアサイトを作った時の話です。
ご相談をいただいた時、正直、僕も一瞬考えました。
犬の情報サイトは、既に大手が何十とあります。
そこに後から入って、どう戦うのかと思ったからです。
でも、話を聞いて考えが変わりました。
その会社は、犬全般ではなく体重25キロ以上の犬だけに絞ると言い切ったのです。
理由が明確でした。
大型犬の飼い主は、悩みの種類がまったく違います。
入れる宿が限られる。
乗れる車が限られる。
病気になった時、体を持ち上げられない。
そして、そのどれも、犬全般のサイトには1行も書いていませんでした。
サイトは、複数の飼い主さんが記事を投稿できる形で作りました。
書き手も、全員が大型犬の飼い主です。
結果として、アクセスの総数は大手の足元にも及びません。
でも、1記事あたりの滞在時間と、広告からの反応が桁違いに高くなりました。
事業主様は、こう言っていました。
「大型犬の人は、書いてある事が自分の話かどうかで読むかを決める」
大手は、体重で読者を切り分ける事ができません。
全部を相手にする作りだからこそ、細かく書けないんです。
そこが、そのまま空き地になっていました。
狭く絞った事を、どうやって伝えればいいのでしょうか?
絞ったら、次は伝え方です。
いちばん大事なのは、対象を名指しで書く事です。
「幅広く対応します」と書いてある会社は、誰にも自分の事だと思われません。
逆に、読んだ人が「これ、うちの事だ」と思った瞬間に、比較が止まります。
書き換える場所は、4つです。
- トップページの1行目。誰のための会社か書く。
- サービスページ。その相手だけが持つ悩みを、具体的な言葉で書く。
- 実績。絞った対象の事例を、前に持ってくる。
- よくあるご質問。その分野特有の不安に答える。
そして、絞り込みは1回で正解が出る事がまずありません。
書いて、反応を見て、言葉を変える。
この繰り返しになります。
その繰り返しを自社で回せる会社が、いちばん早く自分の市場を見つけます。
今はAI × WordPress × テーマSnowMonkeyを組み合わせれば、専門的な知識がなくても文章と構成を自分で組み替えられます。
よくあるご質問
絞る対象は、どうやって選べばいいですか?
過去の取引先を、粗利の高い順に並べてください。
上位3件に共通点があれば、そこが最初の候補です。
勘で選ぶより、既に儲かっている場所を見るほうが確実です。
件数が多い順に並べると、安い仕事に引っ張られるので注意してください。
狭くした後、他の仕事の依頼が来たら断るべきですか?
断る必要はありません。
絞るのは発信する言葉であって、受ける仕事ではありません。
絞った言葉は、絞った相手以外も引き寄せます。
ただし、粗利が明らかに低い仕事が増えてきたら、半年に1度は見直してください。
ニッチ市場かどうかは、どうやって調べればいいですか?
検索して、その言葉で広告を出している会社があるかを見てください。
広告が出ているという事は、お金を払ってでも取りたい市場という証明です。
検索結果も広告もゼロなら、需要そのものがない可能性を先に疑ってください。
市場の大きさは、人数では決まりません
もう一度お伝えします。
ニッチ市場が儲からないというのは、人数だけを見た誤解です。
残る金額は、人数×単価×成約率で決まります。
そして、狭く取ると社内も変わります。
同じ仕事が続くので型ができ、実績が集まり、値段の話が後ろに下がります。
まずは、1年に必要な件数を計算してみてください。
必要な粗利額を、1件あたりの粗利で割るだけです。
その数字を見た時、思っていたより小さな市場で足りる事に驚くはずです。
ぜひ、過去の取引先を粗利の高い順に並べて、上位3件の共通点を探してみてください。
そして、もし「絞った言葉を自分で書いて、何度も試したい」と感じたなら、Webのスキルを社内に持つ事を考えてみてください。
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