「単価を上げたいんですけど、うちのサービスだとこの金額が限界で」
この相談、本当によく受けます。
そして、話を聞くと9割の会社が同じ状態なんですよねぇ。
何かというと、誰にでも売れる商品を、誰にでも売ろうとしている状態です。
単価を10倍にした会社が最初にやっている事は、値札を書き換える事ではありません。
対象を絞る事です。
これ1つだけです。
今日は、なぜ絞ると値段が上がるのか。
そして、絞った後に何をすれば単価が実際に動くのかまでをお話しします。
この記事の要点を、先にまとめます。
- 単価が上がらない原因は商品ではなく、誰のためか書いていないので横に並べられている事です。
- 絞る順番は、誰に売るか、どんな悩みを解決するか、提供範囲の順です。逆にやると単価が下がります。
- 絞ると問い合わせは減りますが、減るのは成約しない相手だけです。売上は増えます。
- 値札を書き換えるのは、いちばん最後で構いません。先に言葉を変えてください。
- 既存のお客様の値上げは、理由と時期と範囲の3点をセットで、更新が来る順に伝えます。
では、順番に説明していきます。
単価が上がらない原因は、誰のためか書いていないから
なぜ絞り込むと単価が上がるのか。
理由は、値段が商品の原価ではなく、お客様が感じる自分ごと度で決まるからです。
同じ内容のサービスでも、書き方でこう変わります。
「ホームページ制作、30万円」
「工事の写真がバラバラで信用されない建設会社のための、実績が伝わるホームページ制作、80万円」
やる作業は、そこまで変わりません。
でも、後者を見た建設会社の社長は、これは自分のためのサービスだと感じます。
自分のためのものだと感じた瞬間に、比較の対象が消えます。
比較されなくなった商品は、値段を自分で決められます。
逆に、誰にでも売れる商品はどうなるか。
お客様は、他の会社と横に並べて見ます。
内容が同じに見えるので、判断材料は価格だけになります。
こうして、全員が値下げ競争に引きずり込まれます。
つまり、単価が上がらないのは商品が悪いからではありません。
誰のためのものか書いていないから、比べられているだけです。
値上げの前に確認する、比べられているかどうかの見分け方
自社が比べられているかどうかは、簡単に確認できます。
問い合わせの1通目に、何が書いてあるかを見てください。
比べられている会社には、こう来ます。
「御社の場合、おいくらになりますか」
「対応できる範囲を教えてください」
比べられていない会社には、こう来ます。
「うちのような状況でも、お願いできますか」
「他社で断られたのですが、相談できますか」
後者が来ている会社は、既に比較の外側にいます。
そして、後者が来ている会社は、たいてい値段を聞かれる前に決まっています。
もう1つ、はっきりした見分け方があります。
相見積もりになる件数が、全体の何割かを数えてください。
半分を超えているなら、比べられています。
この割合は、絞り込みの前後でいちばん分かりやすく動く数字です。
絞る対象は3つあり、順番を間違えると単価が下がる
絞る対象は3つあります。
そして、絞る順番を間違えると失敗します。
正しい順番はこうです。
- 誰に売るかを絞る。
- どんな悩みを解決するかを絞る。
- 提供する範囲を絞る。
多くの会社は、3番から手を付けます。
サービス内容を削って安くしようとするんです。
これは単価が下がる方向なので、完全に逆です。
なぜ3番から手を付けてしまうのか。
社内だけで完結する作業だからです。
1番と2番は、お客様と話さないと決められません。
でも、順番を守らないと結果が出ません。
1番を決めないまま範囲を削ると、安くて中身の薄い商品ができるだけです。
絞り込みで効く4つの軸と、いちばん強い失敗経験
いちばん効くのは1番です。
そして、絞り方には具体的な軸があります。
- 業種で絞る。建設業だけ、歯科医院だけ、士業だけ。
- 状況で絞る。創業3年以内、事業承継の直後、初めての採用。
- 規模で絞る。社員5人以下、年商1億円前後。
- 悩みの深さで絞る。既に1度失敗した人、他社で断られた人。
特に効くのが4番です。
1度失敗した人は、安さより確実さにお金を払います。
そして、その層に向けた言葉を書いている会社は、ほとんどありません。
なぜ、4番がいちばん強いのか。
理由は3つあります。
- 失敗した経験がある人は、安さの怖さを既に知っている。
- 次に失敗できないので、判断が慎重になり、説明を最後まで読む。
- 同じ失敗をした人どうしで、話がつながりやすい。
逆に、まだ1度も頼んだ事がない人は、相場も怖さも知りません。
だから、いちばん値段で決めます。
単価を上げたいなら、初めての人ではなく、1度痛い目に遭った人に向けて書いてください。
減るのは問い合わせの数であって、売上ではない
絞り込むと、お客様は減ります。
ここは正直にお伝えします。
ただし、減るのは問い合わせの数であって、売上ではありません。
実際にどう変わるか、数字で見てみます。
絞る前。
問い合わせ20件、成約4件、単価30万円。
売上は120万円です。
絞った後。
問い合わせ8件、成約4件、単価80万円。
売上は320万円になります。
問い合わせが半分以下になっても、売上は倍以上です。
しかも、対応する件数が減っているので、現場は楽になっています。
ここで気づいてほしい事があります。
問い合わせ20件のうち16件は、そもそも成約していません。
その16件にも見積もりを出し、説明をし、時間を使っています。
絞り込みは、客を減らす作業ではなく、成約しない相手への時間を減らす作業です。
社長の1日の使い方が変わるので、値上げよりも先にここをやるべきです。
間口の広さは安全ではなく、経験が蓄積しない原因になる
確かに、対象を広げておけば、どんな相談も受けられます。
仕事が途切れるのが怖い気持ちは、すごくよく分かります。
しかし、間口の広さは安全ではなく、選ばれない理由になります。
考えてみてください。
自分が客の立場で、腰痛で困っているとします。
片方の整体院には「何でも診ます」と書いてあります。
もう片方には「デスクワークの人の腰痛専門」と書いてあります。
どちらに行きたくなるでしょうか。
人は、自分の状況に近い専門家を選びます。
これは価格に関係なく、ほぼ例外がありません。
それにもう1つ、間口を広げると起きる問題があります。
社内の経験が、いつまでも蓄積しない事です。
毎回違う業種、違う条件の仕事を受けていると、毎回ゼロから考える事になります。
10年やっているのに、10年分の型が残っていない会社は、ここでつまずいています。
逆に、同じ業種の仕事を50件やった会社はどうなるか。
提案の型ができ、失敗の予測ができ、作業時間が短くなります。
同じ料金でも利益率が上がるので、値上げをしなくても儲かる体質になります。
事業承継の2代目に絞った経営コンサルタントの実例
例えば、経営コンサルタントの方の話です。
最初にいただいた原稿には、こう書いてありました。
「中小企業の売上アップから組織づくりまで、幅広くご支援します」
言っている事は、正しいです。
でも、これでは他の何百人のコンサルタントと、1行も違いません。
そこで、過去の契約を粗利の高い順に並べてもらいました。
すると、上位の案件に共通点が見つかりました。
親から会社を引き継いだ直後の、2代目の社長ばかりだったんです。
理由を聞くと、はっきりしていました。
先代のやり方を変えたいけれど、社内に相談できる相手がいない。
だから、外の人に高くても頼む。
そこで、サイトの内容を全部その層に向けて書き換えました。
先代からいる社員と、どう向き合うか。
社名や事業内容を変える時、何から手を付けるか。
親族と揉めないための順番。
問い合わせの数は、はっきり減りました。
以前の半分以下です。
でも、1件あたりの契約金額は、以前の3倍以上になりました。
しかも事業承継は横のつながりが強く、紹介で案件が回るようになったそうです。
そして、想定外の効果もありました。
提案書を作る時間が、半分以下になったそうです。
同じ状況の会社が続くので、資料の使い回しが効くようになったからです。
その方は、こう言っていました。
「やっている事は前と同じ。誰に向けて書いているかを変えただけです」
絞り込みを決めたら、いちばん先に変えるのはホームページの言葉
絞り込みを決めたら、いちばん先に変えるのはホームページの言葉です。
ここを後回しにする会社が本当に多いんですよねぇ。
社長の頭の中では絞れているのに、外に出ている情報が昔のままなんです。
それでは、お客様からは今までと同じ会社に見えます。
絞り込みは、伝わって初めて意味を持ちます。
書き換えるのは、次の4箇所です。
- トップページの1行目。誰のための会社なのかを書く。
- サービスページ。絞った相手の悩みを、具体的な言葉で書く。
- 実績。絞った対象の事例だけを、前に持ってくる。
- よくあるご質問。その業種特有の不安に答える。
そして、値札はまだ触らないでください。
言葉を変えて、問い合わせの中身が変わるのを先に確認してください。
中身が変わっていない状態で値上げすると、単に売れなくなるだけです。
値上げの伝え方は、理由と時期と範囲の3点セットで、更新が来る順に
言葉を変えて、問い合わせの中身が変わってきた。
ここで初めて、値札の話になります。
新規のお客様への値上げは、簡単です。
新しい金額で出すだけです。
問題は、既存のお客様です。
ここで伝え方を間違えると、長い関係が一度で終わります。
伝える時は、必ず次の3点をセットにしてください。
- 理由。なぜ変えるのか。
- 時期。いつから変わるのか。
- 範囲。新しい金額で、どこまでやるのか。
3番がいちばん大事です。
金額だけを上げると、相手には値上げにしか見えません。
範囲を一緒に示すと、内容の変更として受け取ってもらえます。
そして、やってはいけない事もお伝えします。
値上げの理由を、原価や人件費の高騰だけにしないでください。
それは自社の都合なので、相手には関係のない話です。
「この範囲まで対応する体制にしたので、この金額になります」
この形なら、話がこじれません。
そして、伝える順番にもコツがあります。
全員を同時に上げないでください。
やり方は、こうです。
- 契約や取引の更新時期が近い先から順に、切り替える。
- 1件伝えるごとに、相手の反応を記録する。
- 3件やってみて、断られ方に共通点があれば、伝え方を直す。
- 直してから、残りに進む。
この順番なら、全員に同じ失敗を配らずに済みます。
そして、離れる先が出ても慌てないでください。
値上げで離れる先は、もともと価格だけで付き合っていた先です。
その分の時間が空くので、絞った層に使えるようになります。
これは損失ではなく、入れ替えです。
そして、絞り込みは決めて終わりではありません。
半年に1度、点検が必要です。
見るのは1つだけです。
取引先を粗利の高い順に並べて、上位の顔ぶれが変わっていないか。
変わっていなければ、絞り込みは効いています。
変わっていたら、次の絞り込み先が見えたという事です。
そして、点検の時に必ず確認してほしい事があります。
絞った層以外の仕事が、いつの間にか増えていないかです。
発信を絞っても、受ける仕事は自由です。
でも、粗利の低い仕事が増え続けると、絞った意味が薄れます。
半年に1度、そこだけ見てください。
書き換えを何度も回せる会社が、いちばん早く正解に着く
ここで問題になるのが、書き換えの速さです。
絞り込みは、1回で正解が出る事はまずありません。
やってみて、反応を見て、調整する。
この繰り返しが必要です。
ところが制作会社に依頼すると、1回の修正に2週間かかります。
これでは検証が回りません。
具体的に、何ができるようになると変わるのか。
次の4つで十分です。
- トップページの1行目を、自分で書き換えられる。
- 実績の並び順を入れ替えられる。
- よくあるご質問を1問だけ追加できる。
- 料金の説明を、その日のうちに直せる。
この4つができれば、絞り込みの検証が月に何度も回せます。
今はAI × WordPress × テーマSnowMonkeyを組み合わせれば、専門知識がなくても文章と構成を自分で組み替えられます。
思いついた日に直せる会社が、いちばん早く正解にたどり着きます。
絞り込みで単価が上がらない時、原因は2つしかない
言葉も変えた。実績も並べ替えた。
それでも単価が動かない事があります。
その時の原因は、2つしかありません。
対象がまだ広いか、悩みが浅いかのどちらかです。
1つ目の見分け方は簡単です。
自社のページから業種名だけ入れ替えて、他社に貼れるかどうか。
貼れるなら、まだ絞れていません。
2つ目は、もう少し分かりにくいです。
対象は狭いのに、その人がまだ困っていない、という状態です。
例えば、創業3年以内の会社に絞ったとします。
でも、創業3年以内という状況そのものは、悩みではありません。
その人が夜中に検索している言葉が、悩みです。
見分け方はこうです。
その対象の人が、その困り事に既にお金を払っているか。
払っていないなら、悩みが浅い証拠です。
直す順番も決まっています。
- まず、悩みを深いほうに変える。同じ対象のまま、より切実な困り事に寄せる。
- それでも動かなければ、対象を1段階だけ変える。
- 対象と悩みの両方を同時に変えない。何が効いたか分からなくなるからです。
1回に1つだけ変える。
これを守るだけで、正解にたどり着く速さが変わります。
絞った層の案件は、最初の3件で型を作る
単価を上げた後に起きる問題も、先にお伝えしておきます。
求められる水準が上がる事です。
80万円の仕事を受けるという事は、80万円分の期待に応えるという事です。
ここで現場が追いつかないと、単価だけ上げた会社は必ず崩れます。
だから、順番があります。
- 絞った層の案件を、まず3件やる。この3件は今までの金額で構いません。
- 3件で共通して発生した作業を、手順として書き出す。
- その手順にかかる時間を測る。
- 4件目から、新しい金額に切り替える。
3件やると、その層に固有の作業が必ず見えてきます。
事業承継の案件なら、先代への説明の場が必要になる。
歯科医院なら、診療を止められない工程の調整が入る。
この固有の作業こそが、単価の根拠になります。
そして、手順が紙になっていると、社員に渡せます。
単価が上がって、しかも社長がやらなくて済む状態。ここが目的地です。
よくあるご質問
絞り込む対象を、どうやって決めればいいですか?
過去の取引先を、粗利の高い順に並べてください。
上位の3件に共通点があれば、それが答えです。
業種なのか、規模なのか、状況なのか。
勘で決めるより、既に儲かっている場所を見るほうが確実です。
絞り込んだ後、他の仕事は断るべきですか?
断る必要はありません。
発信の言葉を絞るだけで、受ける仕事まで絞る必要はないんです。
ただし、粗利が明らかに低い仕事を受け続けると、絞り込んだ意味が薄れます。
半年に1度、取引先の粗利を見直してください。
絞り込んだのに問い合わせが来ないのは、なぜでしょうか?
3つのどれかです。
対象が狭すぎるか、その悩みが浅いか、まだ検索で見つかっていないかです。
まず疑うべきは3番目です。
書き換えてから検索に反映されるまで、通常1ヶ月から3ヶ月かかります。
値上げを伝えたら、断られた場合はどうすればいいですか?
その場で戻さないでください。
1度戻すと、次から金額の話ができなくなります。
金額を据え置くなら、必ず範囲も一緒に減らしてください。
「この作業を外せば、今の金額のままです」という形にします。
単価を上げても、社員がついてこられるでしょうか?
単価が上がると、求められる水準も上がります。
だから、絞った層の案件だけを先に3件やって、型を作ってください。
型がないまま単価だけ上げると、現場が壊れます。
同じ層を続けるほど型ができるので、順番さえ守れば必ず追いつきます。
値上げの前に、対象を1つ絞ってください
もう一度お伝えします。
単価が上がらないのは、商品が悪いからではありません。
誰のためのものか書いていないので、他社と横に並べられているだけです。
やる順番はこうです。
誰に売るかを絞る。その人の悩みを具体的に書く。書き換えたら反応を見て調整する。
値札を書き換えるのは、いちばん最後で構いません。
絞る軸の中では、悩みの深さがいちばん強く効きます。
1度失敗した人は、安さより確実さにお金を払うからです。
既存のお客様への値上げは、理由と時期と範囲の3点セットで伝えてください。
そして、更新が来る順に、1件ずつ切り替えてください。
絞り込みは、客を減らす作業ではなく、成約しない相手への時間を減らす作業です。
ぜひ、過去の取引先を粗利の高い順に並べてみてください。
上位3件の共通点が、次の絞り込みの候補です。
そして、もし「自社で何度も書き換えながら試したい」と感じたなら、Webのスキルを社内に持つ事を考えてみてください。
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