「アイディアが出る人って、頭の作りが違うんでしょ?」

打ち合わせで、よくこう言われます。
気持ちはすごく分かります。
僕も昔はそう思っていました。
でも、アイディアが次々出てくる事業主様を何人も見てきて、はっきり分かった事があります。
あの人たちは、頭が良いんじゃなくて、見ている場所が違うだけです。
今日は、その見ている場所の話をします。
才能の話は一切出てきません。
この記事の要点を、先にまとめます。
- アイディアとは発明ではなく、既にあるものの組み合わせです。必要なのは材料の量だけです。
- 見るべきなのは、人が止まった瞬間です。困った時、人の動きは必ず止まります。
- メモは要約せず、誰が、何と言って、何分かかったかまで、そのまま書いてください。
- 週1回だけ見返して、似たものが3つ重なったものを商品候補にします。
- 拾ったものは、翌日に出せる状態を作らないと埋もれちゃいます。
では、順番に説明していきます。
アイディアは発明ではなく、既にあるものの組み合わせ
なぜなら、アイディアとは発明ではなく、既にあるものの組み合わせだからです。
新しい商品に見えるものを分解すると、だいたい既存のものが2つくっついています。
既にある技術と、既にある困り事。
それだけです。
つまり、必要なのはゼロから生み出す力ではなく、材料をどれだけ持っているかです。
そして材料は、頭の中ではなく、外にあります。
ここが大事なところです。
材料が10個しかない人と、100個持っている人では、組み合わせの数が桁で変わります。
100個持っている人は、才能があるように見えます。
でも実際は、拾った量が違うだけなんですよねぇ。
拾う作業に、才能はいりません。
必要なのは、拾おうと思って歩いているかどうかだけです。
そして、もう1つ知っておいてほしい事があります。
アイディアが出ない人は、考える時間が足りないのではありません。
人と会って話す時間が足りないだけです。
事務所にこもって考えても、材料は1つも増えません。
材料は、必ず人の口から出てきます。
才能があるように見える人がやっている4つの習慣
アイディアが次々出る人を観察していると、共通の習慣が4つあります。
どれも、才能とはまったく関係のない作業です。
- 人が困っている場面に出くわした時、解決する前に一度メモしている。
- 自分の業界と関係ない話でも、最後まで聞いている。
- 聞いた言葉を、要約せずに原文のまま残している。
- 週に1回、そのメモを見返す時間を決めている。
特に3番と4番をやっている人は、本当に少ないです。
3番については、後で詳しく書きます。
先に4番の話をさせてください。
見返さないメモは、書いていないのと同じです。
これ、身も蓋もない話なんですけど、事実です。
メモを取っている人は結構います。
でも、見返す日を決めている人はほとんどいません。
書いた時点で満足してしまって、そのまま埋もれます。
見返す時に見るのは、1点だけで構いません。
似たものが3つ重なっていないか、それだけです。
3つ重なったものは、その業界の共通課題です。
観察で見るべきなのは、人が止まった瞬間の5パターン
観察と言われても、何を見ればいいのか分からないと思います。
見るべきなのは、人が止まった瞬間です。
人は、困った時に必ず動きが止まります。
その止まった瞬間に、ビジネスの種があります。
具体的には、次の5つを見てください。
- お客様が、質問しようか迷って口を開きかけた瞬間。
- 社員が、同じ作業を2回やり直した瞬間。
- 誰かが「あれ、どこだっけ」と探し始めた瞬間。
- 説明した後に、相手が曖昧にうなずいた瞬間。
- 断られた時に、相手が言い訳を長く話した瞬間。
特に4番と5番は見落としがちです。
曖昧なうなずきは、伝わっていないという合図です。
長い言い訳は、本当の理由を隠している合図です。
ここで、多くの人がやってしまう間違いがあります。
その場で解決してしまう事です。
探しているなら教えてあげる。
迷っているなら先回りして答える。
親切としては正解です。
でも、アイディアを拾いたい時は、まず記録してください。
その場の1回を解決するのと、二度と起きない仕組みを作るのは、まったく別の仕事です。
メモは要約せず、誰が何と言って何分かかったかまで書く
観察したものは、書き方で価値が決まります。
ここを間違えると、集めた意味がゼロになります。
1番やってはいけないのが、要約する事です。
「業務効率が悪い」のような書き方は、絶対にしないでください。
それでは、あとから何も思い出せません。
そして、思い出せないメモからは、何も生まれません。
その場で起きた事を、そのまま書いてください。
「山田さんが、見積書のテンプレを探して7分かかった」
このレベルで書くと、あとで見返した時に状況ごと蘇ります。
書く時に入れてほしい要素は、4つです。
- 誰が? ※名前でも役職でも構いません。
- どんな場面で?
- 実際に口にした言葉を、そのまま書く。
- どれくらい時間がかかったか?
- 何回それが起きたか?
4番の数字が入っているメモは、あとで説得材料になります。
社内で提案する時も、数字があると話が早いです。
そして、書く速さも大事です。
その場か、遅くともその日のうちに書いてください。
記憶に頼ると、自分に都合の良い形に変換されます。
僕の場合、帰りの車の中で打ち込んでいます。
1件30秒です。
これ、地味ですけど本当に効きます。
観察力は、記録する場所を先に作るだけで鍛えられる
観察力は、意識だけでは鍛えられません。
記録する場所を先に用意すると、勝手に鍛えられます。
人間は、書く場所がないものを見なくなります。
逆に、書く場所を作ると、脳が勝手にネタを探し始めるんですよねぇ。
これは意志の強さとは関係ありません。
僕がおすすめしているのは、次の3つです。
- スマホのメモアプリに、専用のフォルダを1つ作る。
- 1日1個、その日に見た「止まった瞬間」を書く。
- 週に1回だけ見返して、似たものが3つ重なっていないか確認する。
1日1個で十分です。
1ヶ月で20個、1年で240個の材料がたまります。
240個持っている社長は、周りから見れば完全に才能のある人に見えます。
続かない時の対処法も、先にお伝えしておきます。
3日で挫折する人のほとんどが、1日3個や5個を目標にしています。
目標が高いほど、書かなかった日に罪悪感が出て、そのままやめます。
1日1個。書けない日があってもいい。この2つだけ守ってください。
週に4日書ければ、1年で200個です。
それで十分すぎます。
センスの正体は、蓄積と試した回数の多さ
確かに、同じものを見ても、鋭い切り口を出す人はいます。
そのような人を見ると、やっぱり才能なのかと思いますよね。
しかし、その人たちに話を聞くと、ほぼ全員が同じ事を言います。
似たような場面を、過去に何十回も見ている、と。
つまり、鋭さの正体は蓄積です。
初めて見た人には点にしか見えないものが、100回見た人には線に見えている。
それだけの違いです。
さらに言うと、センスがあるように見える人ほど、実は外していません。
理由は簡単で、当たるまで試した回数が多いからです。
表に出てくるのは当たった案だけなので、百発百中に見えます。
ここを勘違いすると、1つ思いついて外した時に「自分にはセンスがない」と結論を出してしまいます。
これが、いちばんもったいないパターンです。
センスとは、外した数を人に見せていないだけの状態です。
だから、必要なのは才能ではなく、試行の回数を増やす環境なんですよねぇ。
3業種で同じ言葉を聞いて生まれた、整体院の初回ページ
例えば、整体院さんのサイトを作った時の話です。
打ち合わせの雑談で、院長先生がぽろっとこう言いました。
「初めての人ってね、料金より、何をされるかが怖いみたいなんですよ」
その時は「そうなんですね」で終わりました。
でも僕は、スマホのメモに1行だけ残しました。
「初回の不安は、料金ではなく、何をされるか?」
次にパーソナルジムさんの打ち合わせで、ほぼ同じ言葉が出ました。
さらにその後、ダンススクールさんでも同じ話になりました。
3回同じ言葉を聞いた時点で、これは業種の問題ではないと確信しました。
そこから僕は、初回の流れを写真で全部見せるページを、標準の構成に入れるようにしました。
受付から着替え、施術中の姿勢、終わった後の説明まで。
結果として、その整体院さんでは、予約前の電話での質問が減ったそうです。
聞かれる前に、答えが置いてある状態になったからです。
そして、思わぬ副産物もありました。
撮影のために流れを整理した事で、スタッフの説明する順番が揃ったそうです。
バラバラだった初回対応が、写真を撮る過程で標準化されたわけです。
僕は、何も発明していません。
雑談の一言を捨てずに、3回も聞いたので、これはニーズあるな!と思い掲載しただけです。
メモの見返しは週1回15分、重なりを探すだけ
240個溜まったとします。
ここからが本番です。
見返し方を知らないと、ただの日記で終わります。
見返しは、週1回15分で十分です。
やる事は3つだけです。
- その週に書いた5個から7個を、声に出して読む。
- 過去のメモの中に、似た言葉がないか探す。
- 3回以上重なったものに、印を付ける。
2番が難しく感じるかもしれませんが、メモアプリの検索機能を使えば一瞬です。
「探す」「面倒」「分からない」といった言葉で検索してみてください。
そして、印が付いたものだけを別の場所に移してください。
これが、自社の商品候補リストになります。
ここで、大事な判断基準を1つお伝えします。
3回重なったものすべてが商品になるわけではありません。
お金が動くのは、次の3つが揃った困り事だけです。
- 頻度が高い。月に何度も起きている。
- 面倒の度合いが大きい。時間か気持ちが削られる。
- 自分では解決できない。
この3つが揃っているかを、印を付けた時点で確認してください。
揃っていなければ、保留の箱に入れておく。
半年後に別の困り事と組み合わさって、急に形になる事があります。
社員に観察してもらうには、書く場所と質問の型を先に決める
事業主様1人で集められる量には、限界があります。
社員が集めてくれる状態を作れると、量が一気に変わります。
ただし、気づいた事を報告してくださいと言うだけでは、まず出てきません。
理由は3つあります。
- 何が報告に値するのか、基準が分からない。
- 報告しても、どうせ何も変わらないと思っている。
- 忙しくて、報告する場所を探す時間がない。
だから、順番はこうです。
まず、書く場所を1つ決めてください。
社内チャットのチャンネルでも、共有のメモでも構いません。
置き場所が決まっていないものは、誰も書きません。
次に、質問の型を決めてください。
「気づいた事」ではなく「今週いちばん面倒だった作業を1つ」。
抽象的な質問には、抽象的な答えしか返ってきません。
そして、いちばん大事なのが3つ目です。
出てきたものを、1つでいいので実際に採用してください。
自分の報告が形になった経験がある社員は、次から自分で集め始めます。
逆に、集めるだけ集めて何も起きないと、3ヶ月で止まります。
これは、僕が何社かで見てきた事です。
もう1つ、集まりやすくなる仕掛けをお伝えします。
月に1回、集まったメモを全員の前で読み上げる時間を作ってください。
5分で構いません。
自分の書いたメモが読み上げられると、書いた本人は嬉しいものです。
そして、他の人の視点が入るので、書き方の基準も自然に揃っていきます。
この時、事業主様が絶対にやってはいけない事があります。
読み上げながら、その場で解決策を出してしまう事です。
その日は、集めた事実を並べるだけで終わってください。
もう1つ、否定しない事も守ってください。
1回否定すると、その人からは二度と出てきません。
採用しない時は、理由を数字で説明してください。
重なった困り事を商品にする4ステップと、値段の決め方
3回重なった困り事が見つかった。
そこから商品にするまでの手順を、具体的にお伝えします。
やる事は4ステップです。
- その困り事を、お客様が使った言葉のまま1行で書く。
- 今、その人がどう対処しているかを聞く。
- その対処に、いくら払っているかを聞く。
- 自社の既存のリソース(人・物・金・情報・時間など)で、それを消せる形を考える。
4番が要です。
新しい設備や資格が必要な案は、一旦、後回しにしてください。
整体院さんの例で言えば、初回の流れを写真で見せるという解決策は、既にやっている事を撮影しただけでした。
新しい技術は1つも要りません。
そして、商品の形を考える時のコツもお伝えします。
既にやっているのに、無料でやっている事を探してください。
施術のあとの5分の説明。
納品後の電話サポート。
見積り前の現地確認。
このあたりに、名前と価格を付けるだけで商品になる事が本当に多いです。
最後に、値段の決め方です。
原価から考えないでください。
その人が今、その困り事のために払っている金額か、失っている時間の価値から決めてください。
具体的な決め方も、お伝えしておきます。
- その困り事に、月に何時間使っているかを聞く。
- その時間を、その人の時給に換算する。
- 換算した金額の3分の1から半分を、月額の目安にする。
例えば、月に10時間かかっていて、時給換算が3,000円なら、月3万円の価値があります。
そこから月1万円のプランを作れば、相手は得をした感覚で申し込めます。
ここで、自社の作業時間から価格を出すと、必ず安くなります。
見るべきは、自社の手間ではなく、相手が失っているものです。
観察を形にするには、外に出す場所が先に要る
観察したメモは、そのままでは1円にもなりません。
形にするために必要なのは、外に出す場所です。
ここでつまずく会社が本当に多いんですよねぇ。
良い気づきがあるのに、それを世に出す手段がない。
チラシを作るには時間もお金もかかる。
制作会社に頼むと、企画から公開まで2ヶ月。
その2ヶ月間で、せっかくの熱が完全に冷めます。
そして、メモは奥底に眠ってしまいます。
逆に、自分でページを1枚作れる会社はどうなるか。
思いついた翌日に出せます。
反応がなければ引っ込めればいい。
試す回数が増えるので、結果として当たる回数も増えます。
さっきお伝えした通り、センスの正体は試行回数です。
つまり、自社でページを作れる状態そのものが、センスの代わりになります。
そして、もう1つ効果があります。
書く過程で、観察が深まる事です。
ページに書こうとすると、情報が足りない事に気づきます。
その困り事が起きる頻度は。
今どう対処しているのか。
足りない部分を埋めるために、もう1回聞きに行く事になります。
この往復が、いちばん精度を上げてくれます。
今はAI × WordPress × テーマSnowMonkeyを組み合わせれば、専門知識がなくてもページが形になります。
文章の下書きはAIに任せて、自分の言葉に直す。
「投稿を追加」で記事の型に流し込む。
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SEO・AIOにも良質な記事であれば、効果的です。
このようにして、HPを運営して育てていくこともできるのが、HPの大きなメリットです!
よくあるご質問
忙しくて観察する時間がない時は、どうすればいいですか?
新しい時間を作る必要はありません。
観察は、今やっている仕事の最中にしかできないものです。
打ち合わせ、現場、電話、社内のやり取り。
その中で1日1回だけ、止まった瞬間をメモしてください。
時間にすると30秒です。
メモが増えても使えるアイディアが見つからないのは、なぜでしょうか?
数が足りていないか、見返していないかのどちらかです。
週1回の見返しをやらないと、メモはただの記録で終わります。
見返しの時に見るのは1点だけです。
似たものが3つ重なっていないか、それだけ確認してください。
メモ内容が3つ重なったのに、商品の形が思い浮かびません。どうすればいいですか?
新しいものを作ろうとしている可能性が高いです。
既にやっているのに無料でやっている事の中に、答えがある場合がほとんどです。
納品後の説明、事前の確認、追加の相談。
このあたりに名前と価格を付けるだけで、商品になります。
社員から出てきたメモが、要約ばかりで使えない時は、どうすればいいですか?
書き方の見本を、1つだけ渡してください。
「業務効率が悪い」ではなく「山田さん(仮)が見積書を7分探した」。
実例を1つ見せるだけで、次から書き方が変わります。
ルールを文章で説明しても、まず変わりません。
観察を続けても、成果が出るまでどれくらいかかりますか?
メモが3回重なるまでに、だいたい2ヶ月から3ヶ月です。
そこから商品の形にして、ページに出すまでが1ヶ月。
検索から反応が出るまで、さらに1ヶ月から3ヶ月かかります。
半年は続けてから判断してください。
アイディアは、探す人ではなく拾う人のところに集まります

もう一度お伝えします。
ビジネスアイディアの出し方に、才能はいりません。
必要なのは、人が止まった瞬間を見て、そのまま書き残す事だけです。
やる事は3つです。
メモの場所を作る。1日1個書く。週1回、重なりを探す。
これを続けた人が、1年後に才能のある人と呼ばれます。
書き方だけは、絶対に守ってください。
要約した瞬間に、あとから何も思い出せなくなります。
誰が、どんな場面で、何と言って、何分かかったか。ここまで書いてください。
社員を巻き込む時も、順番があります。
書く場所を決める。質問の型を決める。出てきたものを1つ採用する。
この3つ目をやらないと、3ヶ月で止まります。
そして、拾ったものは出さなければ意味がありません。
思いついてから公開まで2ヶ月かかる会社は、拾う意味が半分失われます。
ぜひ、今日スマホにメモアプリやUpnoteアプリ(僕が普段使っていて非常にお勧めです)のノートを1つ作ってみてください。
名前は何でも構いません。
そして、もし「気づいた事をすぐ形にできるようになりたい」と感じたなら、Webのスキルを社内に持つ事を考えてみてください。
僕が運営しているウェブココスクールでは、AI × WordPress × テーマSnowMonkeyを使って、自社のページを自分で作って直せるようになるまでを伴走しています。
まずは、どんな事ができるようになるのか、気軽に覗いてみてください。
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