新規事業の相談を受ける時、僕が必ず聞く質問があります。
「その事業、どうなったら止めますか?」
だいたいの事業主様は、ここで黙ります。
そりゃそうですよね。
始める前から、止める話なんてしたくないですから。
でも、この質問に答えられない新規事業は、かなり高い確率で3年以内に消えます。
逆に、ここを最初に決めていた会社は、10年後も普通に残っているんですよねぇ。
今日は、その分かれ目の話をします。
なぜ、新規事業は3年で消えてしまうのでしょうか?
なぜなら、多くの新規事業は、失敗ではなく「判断できないまま放置」で消えるからです。
はっきり失敗したなら、まだ良いんです。
原因が分かるので、次に活かせます。
でも、実際に多いのはこうです。
売上はゼロじゃない。
でも、伸びてもいない。
社員は月に数十時間そこに取られている。
社長も「もう少しやれば」と思って手を離せない。
こうして、儲かっていない事業に人と時間だけが吸われ続けます。
そして3年目くらいに本業が苦しくなって、まとめて畳む。
これが、僕が何度も見てきたパターンです。
つまり、新規事業は市場に殺されるんじゃなく、判断の先送りで死にます。
決めていないから、決められない。
それだけの話なのです。
10年残る会社は、最初に何を決めているのでしょうか?
10年残る会社は、始める前に3つを紙に書いています。
- この事業が成功したと言える数字は何か?
- その数字を、いつまでに達成するか?
- 達成できなかった時、どうするか?
特に3番です。
撤退の条件を先に決めておくと、途中の迷いが消えます。
つまり、投資で言う損切りラインを先に決めておくことです。
例えば「12ヶ月後に月商50万円に届かなければ、規模を半分にする」と決めておく。
すると、11ヶ月目に数字が悪くても慌てません。
決めた通りに動くだけだからです。
逆に、決めていない会社はどうなるか?
毎月の会議で「もう少し様子を見よう」が繰り返されます。
様子を見るという言葉は、判断しないという意味です。
これが2年続くと、誰も止められなくなります。
そしてもう1つ大事なのが、1番の成功の定義です。
「軌道に乗ったら」「うまくいったら」では、永遠に評価できません。
月商なのか、契約件数なのか、粗利額なのか。
数字で書いた瞬間に、その事業は初めて経営の対象になります。
撤退ラインを決めないと、どうなるのでしょうか?
撤退ラインがない事業は、社長の気分で延命されます。
これ、能力の問題じゃないんですよ。
人間は、自分が始めた事を止めるのが構造的に苦手なんです。
かけたお金と時間が惜しくなるからです。
サンクコストというヤツです。
だから、判断を「その時の自分」に任せてはいけません。
冷静な今のうちに、未来の自分への指示を書いておく。
これが撤退ラインの正体です。
ここで1つ注意があります。
撤退ラインは、止める事だけを決めるものではありません。
伸ばす条件も、同時に決めてください。
「6ヶ月で月商30万円を超えたら、専任を1人つける」のような形です。
多くの会社は、当たった時の準備をしていません。
だから、せっかく反応が出ても人を回せず、機会を逃します。
撤退と加速、両方の線を引いてある会社が、いちばん強いです。
確かに、粘り強く続けた会社が成功したのでは?
確かに、10年赤字で耐えて花開いた事業の話はあります。
その手の成功談を読むと、撤退ラインなんて弱気だと感じるかもしれません。
しかし、その話が語られるのは、耐えきった会社が生き残ったからです。
同じように耐えて、体力が尽きて本業ごと倒れた会社は記事になりません。
僕らが目にしているのは、勝った側の記録だけです。
それに、粘って成功した会社をよく調べると、共通点があります。
耐えている間、ずっと数字が少しずつ良くなっているんです。
横ばいのまま10年耐えた会社は、まず出てきません。
つまり、粘るかどうかの判断も、結局は数字なんですよねぇ。
前月比で1%でも改善しているなら続ける価値があります。
3ヶ月連続で横ばいなら、やり方が間違っている合図です。
粘りと放置は、まったく別物です。
その違いを分けるのが、最初に引いた線です。
例えば、どんな新規事業が10年続いたのでしょうか?
例えば、介護タクシーをやっている会社さんの話です。
その会社は、介護送迎の本業に加えて、観光の送迎を新しく始めようとしていました。
車も運転手も既にいる。
だから、空いた時間で回せるという発想です。
サイトの打ち合わせで、僕はいつもの質問をしました。
「この観光の方、どうなったら止めますか?」
事業主様は少し考えて、その場で紙に書いてくれました。
12ヶ月後に月8件、粗利で月10万円。
届かなければ、Webサイトだけ残して、リアル営業活動はやめる。
これだけです。
1年後、実際の件数は月5件でした。
決めた数字には、届きませんでした。
そこで決めた通り、リアル営業をやめて、Webサイトの改善とSEOとAIOに注力しました。
面白いのは、その後です。
リアル営業をやめた翌年、件数が月9件まで伸びました。
理由を聞いて、僕も驚きました。
申し込んでいたのは、県外に住む娘さんや息子さんだったんです。
営業していた相手と、実際に財布を開く相手が違っていました。
線を引いてあったから、無駄な営業をやめられて、正しい相手が見えたわけです。
もし撤退ラインを決めていなかったら、今も同じ営業を続けて、経費だけが増えていたと思います。
新規事業を始める時、いちばん先に用意すべきものは何でしょうか?
数字の線を引いたら、次に用意すべきなのはその事業の説明が載ったページ1枚です。
なぜかというと、Webサイト、つまりホームページがないと、そもそも数字が取れないからです。
チラシや紹介だけで動くと、何人が興味を持って、何人が離脱したのかが分かりません。
分からないという事は、撤退ラインで判断できないという事です。
ホームページがあれば、見た人数、問い合わせた人数、その比率が全部残ります。
判断材料が毎日たまっていく状態を、最初に作ってしまう。
これが、新規事業の生存率を上げる、いちばん地味で確実な方法です。
ホームページに書く事は3つだけで大丈夫です。
誰のどんな困り事を解決するのか?
いくらで、どこまでやるのか?
スムーズにお問い合わせしてくださるには?
最初から立派なホームページを作る必要はありません。
むしろ、数百万円かけて作り込んでから始めるのは、順番として危険です。
まず反応を見て、当たったら作り込む。
この順番なら、外した時の傷が浅くて済みます。
よくある質問
撤退ラインは、どのくらいの期間で設定すればいいですか?
事業の性質によりますが、目安は6ヶ月から12ヶ月です。
3ヶ月では短すぎて、認知が回る前に判断する事になります。
逆に2年以上先に設定すると、事実上決めていないのと同じです。
迷ったら12ヶ月にして、途中の6ヶ月時点で中間チェックを入れてください。
撤退ラインに届かなくても、続けたい場合はどうすればいいですか?
続けても構いません。
ただし、その時は必ず新しい線を引き直してください。
「あと6ヶ月、この施策を変えてやる」と条件付きにするという意味です。
条件を付け直す限り、それは放置ではなく判断になります。
新規事業の担当は、社長がやるべきですか?
立ち上げの最初の3ヶ月は、社長がやったほうが早いです。
お客様の反応を、社長本人が直接見る必要があるからです。
ただし、3ヶ月を過ぎても社長しか回せない状態なら、事業として設計に問題があります。
誰かに渡せる形になっているかどうかも、判断の材料にしてください。
まとめ・新規事業の寿命は、始める前に決まっています
もう一度お伝えします。
新規事業が3年で消えるのは、市場が悪かったからではありません。
判断の基準を決めないまま始めて、止められなくなるからです。
10年残る会社がやっている事は、たった3つです。
成功の数字を決める。期限を決める。届かなかった時の行動を決める。
これを1枚の紙に書いてから始めるだけです。
そして、その判断をするためには、数字が毎日たまる状態が必要です。
説明ページを1枚持つ事が、いちばん安く、いちばん早い準備になります。
ぜひ、次の新規事業を考える前に、この質問に答えてみてください。
「その事業、どうなったら止めますか?」
僕は、AI × WordPress × テーマSnowMonkeyを組み合わせて、会社のホームページ制作をしています。
新しい事業のホームページの相談に乗って欲しい。
反応が数字で見える形にしておきたい。
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